臨床研究
2018/05/11(金)
筋の治療をしても治らなかった腰痛の治し方
from 脇本竜次
京都のホテルから、、、
<腰痛の疫学>
腰痛の生涯有訴率は92.5%と言われています。
つまり、腰痛を経験しない人はほとんどいません。
ほぼ日本人の全員が腰痛を感じます。
なので、我々セラピストは必ず腰痛の方に出会います。
腰痛の評価と治療法に特化することは非常に重要です。
そして、腰痛の原因を見つけることが非常に重要です。
なぜなら原因もわからずに治療をしても、何を治療しているか明確ではないので効果は出ません。
犯人がわからないのみ当てずっぽうに治療をしても効率が悪すぎます。
そうではなく、的確に原因を探すことが重要です。
<現代医学の腰痛の原因の見つけ方>
MRIやRGで組織の状態を把握して、診断をすることが主流です。
ですが、そこには原因は全く写りません。
MRIやRGなどの画像に重症度と患者の症候は相関しないと言われています。1)
なので、腰痛の方にMRIやRGを撮る意味はほとんどありません。
それに高額な金銭が動き、保険料が適応され国の税金が使われます。
本当はそれ以上に重要な検査方法があるのにもかかわらず。
<腰痛を治すためには>
そんな患者を救うためには多面的な視点を持つことが必要です。
筋だけの治療では、治せる人は限られます。
なぜなら筋肉以外にも腰痛の原因になりうる原因があるからです。
そのポイントとなるのは結合組織です。
<腰痛に重要な部位>
筋や内臓や頭蓋を治療し尽くして何をすればいいのかなのですが、胸背神経を評価してみてください。
胸背神経とは広背筋を支配している神経です。
この神経が腋窩後壁から3〜4横指下の部分から広背筋の表層に露出し走行しているのですが、このポイントは筋による圧迫・剪断力・摩擦が多く加わる部分であり、この周囲の結合組織が非常に硬くなりやすいです。
硬くなった結果組織の滑走性が低下し、虚血からの発痛物質が生成され痛みを生じさせます。
今まで広背筋は治療していたけど、このポイントを治療しなければ痛みは残存します。
<腰の痛みを感じる組織>
腰の痛みを感じる組織は筋ではなく、胸腰筋膜である可能性があります。
それを裏付ける研究があります。
腰部筋と胸腰筋膜の疼痛域値を比較した研究では、胸腰筋膜の方が優位に疼痛域値が低いことがわかっています。2)
なので、腰痛に重要となるのは胸腰筋膜が重要になります。
単純に腰部の脊柱起立筋が問題ではなく、胸腰筋膜が問題である可能性があります。
<胸腰筋膜とのつながり>
胸腰筋膜ー大殿筋ー広背筋ー胸背神経は相互に作用し合っています。
組織的なつながりがあり、このつながりのある部分が硬くなると、他の部位が硬くなるなど影響が出てきます。
なので、筋の治療をしても痛みが消失しない要因のひとつは胸背神経周囲の結合組織の評価・治療をしていなかったことが要因である可能性があります。
<やっていただきたいこと>
①胸背神経の解剖図を確認
②エコーで胸背神経を確認
③胸背神経に圧迫を加えて痛みがある動作をしてもらう(疼痛誘発動作)
④痛みが軽減すれば、その部位の治療
<まとめ>
胸背神経周囲の結合組織に問題があり腰痛が生じる可能性があります。
<参考文献>
1)Myofascial pain in patients waitlisted for total knee arthroplasty Richer Renryら その他 2012
2)The Lumbodorsal Fascia as a Potential Source of Low Back Pain: A Narrative Review Jan Wilkeら2017;2017:5349620. doi: 10.1155/2017/5349620. Epub 2017 May 11
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日本運動器徒手医科学研究学会
ー臨床研究部門 脇本竜次
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